01-RFIDの基礎

RFIDとは


RFID (radio frequency identification)とは、近距離無線通信を用いた自動認識技術のことを指します。一般的には、無線通信を用いて、ICタグを取り付けた様々な対象物を識別・管理するシステムやその部品のことをRFIDと呼びます。

タグの種類


▲タグから電波の発信方式で下記3種類に分類されています。

パッシブタグ

・パッシブタグとは、リーダからの電波をエネルギー源として動作するRFタグで、電池を内蔵する必要がない。タグのアンテナはリーダからの電波の一部を反射するが、ID情報はこの反射波に乗せて返される。反射波の強度は非常に小さいため、アクティブタグに比べてパッシブタグの受信距離は比較的短くなるが、安価にできること、ほぼ恒久的に作動することから、今後の普及の本命と目されている。リーダ側は、比較的強めの電波を供給し、タグからの非常に微弱な反射波を受信・解読できる必要がある。

・ICそのものにアンテナが埋め込まれている場合も多いが、その場合、通信可能距離は数cm程度に制限される。通信距離を伸ばすには、ICの外部にアンテナを取り付けることが必須となる。

・RFIDに期待が高まっているのは、このパッシブタグが非常に安価(10円以下)に生産できる見込みが出てきたためである。

アクティブタグ

・アクティブタグは、電池を内蔵したタグである。通信時に自らの電力で電波を発するため、通信距離がパッシブタグに比べ長く取れる(1~100m以上)。またセンサーと接続して、自発的にその変化を通知することができるので、センサーネットワークとしての用途が期待されている。

・さらにアクティブタグは、内蔵する電池の容量により、通信回数を削減する方法が取り入れられ、定期的な自己通信型と、待受通信型と分けられる。前者はタグに内蔵する時計などにより、一定時間ごとに通信を行い、それ以外の時間帯は休止し、電力の消費を抑えるものである。後者は、通信の起動を自ら行わないもので、呼出しを待つものや、タグ自身に備わったスイッチなどの情報で通信を開始するものがある。

セミアクティブタグ

・セミアクティブタグは、電池を内蔵するアクティブタグの機能を有するが、上位システムへの通信起動をパッシブ方式で起動をする。市民マラソンなどの参加者にこのセミアクティブタグを使用し、スタートやゴールラインで長波帯の電磁誘導で起動をかけ、タグがUHF帯の電波等で各選手の情報を高速でアップロードすることで、参加者それぞれのタイムなどの計測に利用する例がある。

▲電波の伝達方式で、下記2種類に分類されています。

※電磁誘導方式

・タグのコイルとリーダのアンテナコイルを磁束結合させて、エネルギー・信号を伝達する方式。電波方式に比べて、エネルギーを効率的に伝達できるので、開発が先に進んだ。FeliCaはこの方式である。130~135kHz、13.56MHzでこの方式が採用されている。パッシブタグの通信可能距離は最大でも1m程度である。

※電波方式

・タグのアンテナとリーダのアンテナで電波をやりとりし、エネルギー・信号を伝達する方式。電波を空間に放射して伝達するので、電磁誘導方式に比べて、より遠くのタグと通信が可能になる。が、タグが受け取れるエネルギーがきわめて微弱であるため、パッシブタグは、最近になってようやく実用化された。433MHz、900MHz帯、2.45GHzでこの方式が採用されている。通信可能距離はパッシブタグで3~5mである。アクティブタグは、空中線電力さえ許せば数km程度も通信可能である。

バーコードとの違い


RFタグとバーコードの違いを下記にまとめます↓

【読取範囲が広い

バーコードは、バーコードリーダが読める位置に意図的に持ってこなければ読めないが、RFタグでは、読み取り範囲が広くまた読み取れる方向も自由度が大きいため、おおまかな位置決めで読むことができる。これにより作業が省力化される。

【複数のタグを一括で読み取れる

RFIDなら、商品のタグを一つ一つ手に取って読み取る必要がなく、スキャナをかざすだけで一括で読み取ることが可能です。棚卸し等に要する時間を大幅に短縮することができます。

【見えなくても読み取れる

RFタグが目に見えない隠れた位置にあっても、タグ表面がホコリ、泥などで汚れていても読み取り可能である。このため、バーコードよりも広い用途が期待される。

【距離が離れても読み取れる

無線通信により、数メートル離れた距離でも読み取り可能です。大型店舗や広い倉庫での棚卸しなど、高所のタグでも読み取ることができるので作業者の安全も確保できます。

【長寿命

パッシブ型のRFIDタグは電池不要で半永久的に使用できます。

【書き込み可能】

バーコードは印刷物なので変更できないが、RFタグは書き込みが可能なものがある。流通過程の履歴情報などを書き込むことで、新たな利用方法が期待されている。

通信原理


Passive Tag通信の概略

基本的にRFIDは、バッテリ不要のパッシブタグが、リーダライタから送られてくる搬送波を反射することで通信を行います。

【通信の流れ】

1.リーダライタから電波の発信
2.ICタグ内にあるアンテナがリーダからの電波を受信
3.ICタグ内電流が流れ、chip内に持っている情報を信号化
4.ICタグのChipに印刷されたアンテナから信号を発信
5.リーダライタを返信された電波を受信
6.リーダライタを受信した電波を信号化し、PCと通信

周波数帯


RFIDでは、LF帯、HF帯、UHF帯、マイクロ波帯の4種類の周波数帯が使用されています。

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【LF帯】

LF(Low Frequency)帯は、電磁誘導方式を使用しており、他の通信帯と比較すると、歴史的に長く使われています。LF帯は車のキーレスエントリーなどの無線通信に利用されていますが、通信距離が数十センチと短くアンテナの巻数を多く必要とするため、薄型・小型化は困難です。
しかし電波の性質上、周波数が低い程水分の影響を受けにくいため、回転寿司や社員食堂の自動精算・スキー場のリフト券などのレジャー施設といった、水分と密接な環境下での優位性は高い。また、自動車のイモビライザーキーも135kHzのICタグである。

【HF帯】

HF(High Frequency)帯は、LF帯同様、電磁誘導方式でデータをやり取りしますが、LF帯に比べてアンテナの巻数は少なく済むため、薄型・小型化も可能です。 13.56MHzと短波帯の周波数を使用しているため、通信距離は比較的短め。人やモノを1対1で認証するような、近接エリアでの用途に適しています。 おサイフケータイや交通系カードなどの電子マネーに搭載されているNFC(Near Field Communication)も、HF帯RFIDの一つです。
電波方式の万引き防止システムは、13.56MHzに近い8.2MHz帯が主流であり、パッシブタイプの元になった技術である。FeliCaはこの技術から発生した13.56MHzを使っており、一般的な近距離無線通信ICカードとして広く使われ、もっとも身近な存在といえる。通信可能距離は最大1m程度である。

【UHF帯】

UHF(Ultra High Frequency)帯は、電波方式で通信を行う仕組みです。860~960MHzと極超短波帯の周波数を使用しており、一括で読み取りを行う必要のある、数メートル離れた距離での用途に適しています。在庫管理や自動検品などの多くは、この周波数帯が使われています。
多少の障害物があっても通信が可能であり、パッシブタグの中では一番距離を稼げる周波数でもあり、大量普及の最有力候補と目されている。通信可能距離は2~3m程度、最良で5m程度が期待できる。

【マイクロ波帯】

マイクロ波帯は、UHFに属する周波数で2.45GHzを使用しています。電子レンジや無線LAN(Wi-Fi)でも利用されているISMバンドを使用するため、電波干渉の懸念があり、対策を行う必要があります。また、通信距離も2-3mと短く、860~960MHz帯に比べると距離も稼ぐことができない状況です。しかし金属に対する影響を受けにくく、アンテナが最も小型になることから、そのような要求の高いアプリケーションでは普及するであろう。

用途


【流通】

サプライチェーン・マネジメント(SCM : Supply Chain Management) で期待されている。工場で生産した段階で製品にタグを貼り付け、その後の配送ルートで物品の動きを追跡するという用途である。ウォルマートはRFIDで在庫を管理している様です。

【履歴管理】

RFタグには書き込みが可能なので、物品の流通過程で、その物がどこを通って、どういう加工をされて、どこに出荷されたか、といった履歴情報を、移動、加工の都度、記録することが実現できる。これにより、例えば牛肉の産地や生産者・賞味期限を記したり、BSE問題を管理したり、ブランド品の真贋判定をより確実にしたり、といった用途が考えられている。

【物品管理】

物流倉庫やバックヤード、店頭での棚卸し業務の効率化を促進。

【プレゼンス管理】

人がRFタグを常時携帯することにより、今は会議室、今は本人の机、今は外出中、といった情報を、仕事仲間が瞬時に把握できるようになる。

【センサーネットワーク】

センサーを様々な場所に取り付けて、そこから包括的な全体情報を抽出して、意味のあるデータを得ようという試みが進行中である→Data Miningに活用できるDataを収集


まとめ


現在開発してるロボットにもRFIDを採用しています。