B4-【人間失格】【31%】

「日蔭者、という言葉があります。人間の世に於いて、みじめな、敗者、悪徳者を指差していう言葉のようです」(『人間失格』(太宰 治 著)より)

-2018/11/21


「酒、煙草、淫売婦、それは皆、人間恐怖を、たとい一時でも、まぎらす事の出来るずいぶんよい手段である事が、やがて自分にもわかって来ました。」(『人間失格』(太宰 治 著)より)

−2018/9/26


「桜木町の家の隣りの将軍のはたちくらいの娘が、毎朝、自分の登校の時刻には、用も無さそうなのに、ご自分の家の門を薄化粧して出たりはいったりしていたし、牛肉を食いに行くと、自分が黙っていても、そこの女中が、……また、いつも買いつけの煙草屋の娘から手渡された煙草の箱の中に、……また、歌舞伎を見に行って隣りの席のひとに、……また、深夜の市電で自分が酔って眠っていて、……また、思いがけなく故郷の親戚の娘から、思いつめたような手紙が来て、……また、誰かわからぬ娘が、自分の留守中にお手製らしい人形を、……自分が極度に消極的なので、いずれも、それっきりの話で、ただ断片、それ以上の進展は一つもありませんでしたが、何か女に夢を見させる雰囲気が、」(『人間失格』(太宰 治 著)より)

 

「それは、そうに違いないだろうけれども、人間の心には、もっとわけのわからない、おそろしいものがある。」(『人間失格』(太宰 治 著)より)

-2018/9/27


「女があんなに急に泣き出したりした場合、何か甘いものを手渡してやると、それを食べて機嫌を直すという事だけは、幼い時から、自分の経験に依って知っていました。」(『人間失格』(太宰 治 著)より)

 

「アネサは、恥ずかしそうに笑って部屋から出て行きましたが、このアネサに限らず、いったい女は、どんな気持で生きているのかを考える事は、自分にとって、蚯蚓の思いをさぐるよりも、ややこしく、わずらわしく、薄気味の悪いものに感ぜられていました。」(『人間失格』(太宰 治 著)より)

-2018/9/24


 

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